資料庫

「北陸の玉と鉄 −弥生王権の光と影−」
平成17年10月4日(火)〜12月4日(日)

ヒスイ大珠 富山県
境A・東中江・北代・西原遺跡
富山県教育委員会所蔵


王墓に副葬された管玉と
鉄の武器(刀と剣)
福井県 原目山墳墓群
福井市立郷土歴史博物館所蔵

 弥生時代後期(1〜3世紀)は、各種工具の鉄器化が急速に進み、鉄製品やその素材の入手をめぐって政治的にも文化的にも、地域間の新しい結びつきが生まれた時代です。九州以東の各地では、鉄の入手ルートを通じてもたらされた大陸・朝鮮半島のさまざまな情報に触発され、大小の王権が誕生します。
  そこで今回の特別展では、日本を代表する玉類の生産地で、その技術の変化に工具の鉄器化がみてとれる上に、弥生時代後期末から終末期にかけて、当時の権威の象徴であった鉄製武具が王墓などに多量に副葬されている北陸をとりあげ、玉作りにみる鉄器化と、このような時代に生まれた弥生王権とそのゆくえを探ります。

出品総数:600点 重要文化財86点(富山県境A遺跡)

主  催:大阪府立弥生文化博物館/読売新聞社
         /讀賣テレビ放送株式会社
後  援:(財)大阪21世紀協会
協  賛:堺女子短期大学/(株)国際交流サービス
会   期:10月4日(火)〜12月4日(日)
休 館 日:月曜日[ただし10月10日(月)は開館、
        10月11日(火)は休館]
入 館 料:一般600円[480円]、
         高大生・65才以上400円[320円]
        [ ]は20名以上団体料金
         中学生以下、障害者手帳をお持ちの方は無料

【展示構成・主な展示品】

(1)縄文のヒスイ

 北陸の玉といえば、透明感ある緑色に魅了されるヒスイが思い浮かびます。日本にはいくつかのヒスイ産地がありますが、その中で一番利用されていたのが、富山と新潟の県境にある「ヒスイ海岸」のものです。ヒスイ海岸の遺跡として著名な富山県境A遺跡の資料を中心に、ヒスイ製品などを紹介します。

《主な展示品》
  ・ヒスイ大珠  富山県境A遺跡・東中江遺跡・北代遺跡・西原遺跡など

(2)交流からみた北陸弥生文化

 弥生時代、日本海側では潟湖の周辺で大集落が見つかっています。交通の要衝として、人・物・情報が集まっていたのでしょう。北陸を代表する石川県八日市地方遺跡もその一つです。西日本系の祭祀具である武器形・鳥形の木製品、瀬戸内が起源の分銅形土製品などは、多彩な交流が行われていたことの裏付けです。

《主な展示品》
  ・武器形木製品、鳥形木製品、分銅形土製品など 石川県八日市地方遺跡

(3)ひろがる弥生玉作り

 弥生時代の玉作りは縄文の伝統ではなく、朝鮮半島から伝えられた新技術によるものです。北陸には、弥生時代中期に山陰から伝えられ、またたく間にひろがります。素材は濃淡の緑色が美しい碧玉や緑色凝灰岩で、製品の中心は管玉です。弥生時代になるとヒスイ製品は少なくなりますが、勾玉などには使われています。

《主な展示品》
  ・管玉の製作工程 福井県下屋敷遺跡、石川県八日市地方遺跡など

(4)北陸の鉄器生産

 北陸の鉄器生産は弥生時代後期に始まり、終末期にかけて北陸全域にひろがります。一方、本格的な青銅器生産も弥生時代後期に始まります。鉄と青銅器の生産技術は、セットでもたらされたのでしょう。鉄器化は玉作り工具の変化に顕著にあらわれます。砥石で仕上げることは弥生時代中期と変わりありませんが、素材を割ったり細部の形を整える工具は石から鉄にかわり、タガネや鉄の棒が使われるようになります。

《主な展示品》
  ・鉄器を使った管玉製作工程  福井県林・藤島遺跡(写真2)、石川県塚崎遺跡
  ・玉作り工房の各種鉄器    福井県林・藤島遺跡、石川県塚崎遺跡
  ・武器形と銅鐸の鋳型外枠   石川県一針B遺跡など
  ・鍛冶工房の各種鉄器     石川県奥原峠遺跡

(5)弥生墳墓の鉄器

 弥生時代後期になると、鉄製武器の副葬が盛んになります。北陸、特に福井県の墳墓には、大陸・朝鮮半島で製作された刀や剣が大量に副葬され、とても注目されます。特に古墳誕生前夜の王墓に限ると、その数は、今のところ、トップクラスに入ります。北陸の弥生王権が一番輝いていた時代です。比較資料として、近畿北部、山陰、北部九州の鉄製武器も紹介します。

 《主な展示品》
  ・北陸の鉄製武器  福井県小羽山30号墳墓・原目山墳墓群(写真4)・乃木山墳墓
  ・王墓に副葬された玉  福井県原目山墳墓群(写真3)
  ・近畿北部、山陰、北部九州の鉄製武器  兵庫県妙楽寺墳墓群、鳥取県宮内墳墓群、
                      福岡県郷屋遺跡

(6)弥生王権のゆくえ

 鉄製武器の多量副葬を誇った弥生王権の王墓も、中国鏡の副葬が始まる弥生時代終末期から古墳時代初頭を迎えると、中国鏡や三角縁神獣鏡の副葬は見られますが、墳墓の大きさや副葬される鉄製武器は以前にくらべて見劣りします。この背後には、この頃に誕生した大和王権の影が見え隠れします。

《主な展示品》
  ・副葬された中国鏡  福井県風巻神山4号墳(画像鏡)、
             石川県分校カン山古墳(方格規矩四神鏡)、
             福井県花野谷1号墳(三角縁神獣鏡)

【セミナー】14:00〜16:00 (申込不要、受付は13:00〜、当日先着順170名)

◎考古学セミナー(全5回) ※全回出席者には修了証と記念品贈呈

第1回/10月9日(日)
「古代のコシ地域と東北アジア」
小嶋 芳孝(こじま よしたか 金沢学院大学教授)

第2回/10月23日(日)
「邪馬台国時代の鉄−北部九州と東方世界−」
松井 和幸(まつい かずゆき 北九州市立自然史・歴史博物館歴史課主査)

第3回/11月6日(日)
「古代中国の都市と鉄器生産−東アジアへの技術移転の解明に向けて−」
佐原 康夫(さはら やすお 奈良女子大学教授)

第4回/11月13日(日)
「腕輪形石製品の誕生と倭王権」
北條 芳隆(ほうじょう よしたか 東海大学助教授)

第5回/11月27日(日)
「王権の形成と鉄器」
野島 永(のじま ひさし 広島大学助教授)

【本館学芸員による展示解説】(申込不要)

 日時:毎週日曜日と祝休日  いずれも午前11時から
  場所:特別展示室

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